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最高裁判所第一小法廷 昭和50年(行ツ)10号 判決

上告人 朴尚根

被上告人 下谷税務署長

訴訟代理人 平塚慶明

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人松山正、同古波倉正偉、同有賀功、向安藤寿郎の上告理由一について。

本件更正処分は合理的な推計に基づくものであるとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として首肯することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同二及び三について。

本件更正処分は客観的な調査に基づかないでなされたものとはいえないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠及び説示に照らし、正当として首肯することができる。また、いわゆる白色申告に対する更正処分の取消訴訟において、右処分の正当性を維持する理由として、更正の段階において考慮されなかつた事実を新たに主張することも、許されると解するのが相当であり(当裁判所昭和三五年(オ)第一八〇号同三六年一二月一日第二小法廷判決・裁判集民事五七号一七頁、同昭和三九年(行ツ)第六五号同四二年九月一二日第三小法廷判決・裁判集民事八八号三八七頁参照)・これと同旨の原審の判断は正当である、原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立つて原判決の違法をいうものであつて、採用することができない。

同四について。

本件更正処分は上告人の属する在日朝鮮人台東商工会の組織破壊を目的としてなされたものとはいえないとした原審の認定判断は、正当として首肯するに足り、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 岸盛一 藤林益三 下田武三 岸上康夫 団藤重光)

上告理由〈省略〉

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